日増しにスピードを増し、革新を遂げるIT分野。政府は2018年に経済産業省から『産業界におけるデジタルトランスフォーメーション推進施策について』を発しており、その一端として国内でも昨年9月にデジタル庁が発足。日本でもIT分野での躍進が急務となってきています。
今やDXはビジネスにおいて必要不可欠!でもちょっと待ってください。皆さん本当にDXのことを理解していますか?また、わかったふりで実際はいまいちピンと来ていないという人もいるかも知れません。
そこで今日は、DXの定義や、実際のDX推進における課題などについてご説明していきます。
DXとは
DXとは、前述した「デジタルトランスフォーメーション」の略であり、海外では『Trans』を『X』と表記することが多いため、頭文字をとってDXと表記しています。
また、経済産業省ではDXの定義を
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
としています。
単にRPAソフトを導入したり、ウェブ会議を促進するというだけでなく、IT技術全般を用いて自社のビジネスを再構築することで、ひいては市場での優位性を担保すること、ということになります。
DXに関する押さえておきたい数字
現在の日本のDX導入に関する現状はどうでしょう?2022年1月からPwCコンサルティングが行ったDXに関する調査では、
- DXの取り組み状況『経営戦略に基づいて全社的に取り組んでいる』59%
- DXの取り組み成果『十分な成果が出ている』10%
という数字が出てきています。
また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が今年9月に発表した『世界デジタル競争力ランキング2022』では、8位韓国、11位台湾、17位中国から大きく引き離されて29位日本と低迷しています。この順位からも、まだまだ国内ではDX化は進んでいないと言えるでしょう。
経済産業省は、2018年9月に発表した『DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~』の中で、日本企業がデジタル化に取り組まなければ、他の国との競争上の優位性を失い、2025年から2030年にかけて年間12兆円もの経済的損失を被る、と予測しています。
国内企業のDX推進への3つの課題
DX導入はビジネススケールが大きくなればなるほど効用が大きく、その分難解です。そこで、現在顕在化しているDX推進の上での課題を見ていきましょう。
①社長を含めた経営層が率先してコミットする
DXの定義を仰ぎ見るに、時にはこれまでの慣れ親しんだ手法さえ捨てて新しい手法を採用する決断力が必要です。さらに前述した数字が示す通り、DXの成功には明確な経営戦略が必須であり、トップダウンで定量質量的な目的、目標を示す必要があります。
また、既存のシステムの保守に割いていた予算とは比べ物にならない額が必要になることが予想されます。大胆かつ的確な予算配分がなるため、トップ経営層の理解が必要不可欠になります。
②DXのゴールとロードマップを作り、導ける人材と環境の確保
何度も繰り返しますが、DXの目標の一つは最終的に『業界内で圧倒的なアドバンテージを取る』ほどの変革です。業界や業態が大きくなればなるほど時間がかかりますし、マイルストーンや目標設定は明確に示す必要があります。
社内人材で賄うことが難しい場合、十分な知識経験のある人材を雇い、その人間や部署に対して充分な裁量権を与える必要があります。
③超短期的な目標で必ず成果を出す
社内で新しい人材、もしくは部署をDX推進のために新しく立ち上げたとすると、どうしても既存の組織の人間は自分事としてとらえられなかったり、白い目で見たりします。
そのため、推進する上で出来るだけ短期で達成できる効果的な施策を行う必要があります。社内でのDX推進の機運にもつながり、最終的にDXを推進していく上でセキュリティ対策などの保守に関する理解を全社的に深めるためにも、初めの一歩で確かな成功を収めることが必要不可欠です。
最後に
いかがだったでしょうか?IT人材が不足されている日本国内で人材を確保することが難しい場合は海外人材を探したり、そのために英語人材を雇ったり、その後のIT人材の内製化など、DX成功への道筋は多岐に渡ります。早く着手した会社が早く業界で成功を収める状況の中、あなたの会社のDX推進はどうでしょうか?